マカロニ映画館

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

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公開年:2019

監督:クエンティン・タランティーノ

出演:レオナルド・ディカプリオブラッド・ピットマーゴット・ロビー

上映時間:161分 

落ち目の俳優とその相棒のスタントマンの物語と、実在した女優シャロン・テートの華やかな生活が、ハリウッドを舞台に交互に描かれていく。

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実在した人物もところどころ登場し、あのブルース・リーも出演します。ただしどの人物も脈略なく出てくるわけではなく、実際にその時期にハリウッドにいたであろうというバックボーンももちろんあるわけです。

この映画の中では大きな事件はほとんど発生しません。ただ、魅力的な3人のキャラクターが画面の中にいるだけで、とてもハッピーな気持ちになる素敵な映画でした。比較的淡々と物語が進むあたりと、過去と現在と妄想が入り乱れる前〜中盤に対して、後半の時系列をしっかりと提示しながら出演者が運命的に交差する構成は、タランティーノ映画の中では「ジャッキーブラウン 」に近い印象でした。中盤のクリフパートの不穏なロードムービー感は、去年見たロバート・ミッチェルの「アンダー・ザ ・シルバー・レイク」にも似ている気がします。タランティーノにしては驚くほど何も起こらない映画ですが、それがこの映画の作られた理由にも繋がっている気がします。

映画内映画がとめどなく差し込まれる感じは、フェリーニの作品もきっと意識されていることでしょう。個人的には北野武の「監督ばんざい」を思い出しました(あれもフェリーニの「8 2/1」が元ネタです)。10作で引退を宣言しているタランティーノにとって、9作目にあたる今作には、集大成的な意味も含まれているのでしょうか。

補足としては、少しネタバレにもなりますが、この映画にはとあるカタルシスが描かれるのですが、その元になる出来事が画面の中で描かれていません。知らずに見てもとても美しい昔々のお話ですが、実際にあったあの事件を知っているのと知らないのでは、この映画の見え方が大きく違います。見た後でも良いとは思うのですが、少しだけこの映画の内容について調べてみることをおすすめします。そうすればきっと最後のある人物の声に心を打たれることだと思います。


映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』予告 8月30日(金)公開

 

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド オリジナル・サウンドトラック

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド オリジナル・サウンドトラック

 

 

タランティーノ監督による、エルモア・レナードの小説「ラム・パンチ」を原作とした、犯罪サスペンス。

 

▼ホラー映画「イット・フォローズ」で注目を浴びたロバート・ミッチェル監督の現時点で最新作。こちらもハリウッドが舞台となっている。