運び屋《人生は90歳を超えてから。家族とは、生きる意味とは》
「俺の人生は最高さ」
公開年:2019
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、ブラッドリー・クーパー
上映時間:116分
園芸家のアール・ストーンは家族を大事にせず仕事に生きてきた男。この日も品評会に出席するために、娘の結婚式を欠席し娘から絶縁される。その12年後、農場を失い孤独な生活を送るアールは孫娘の結婚直前に、車で移動するだけで大金が手にはいる謎の仕事を紹介され、家族の信頼を取り戻すためにその仕事を始める。
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|老人パワーに若者が圧倒される
老人が若者に脅されながら法に背く仕事に手を染める話かと思いきや、90歳のアールの精神力や体力(というか性欲)に若者がただ驚くといった映画でした。
|90歳アール・ストーンの楽しい人生
運んでいるものが麻薬と知ってからも、まずい!と言いつつ、車で大音量で音楽を聞いて歌いまくり、道中気ままに休息を取り美味しいものを食べ、ホテルでは二人の女性に囲まれ夜を過ごすアール。その仕事っぷりに、若手マフィアのハンドラーは「真面目にやれ!」と彼を一喝しますが、逆に「おいおい、お前も人生を楽しめよ」と逆に言い返されるのでした。
そんな彼の精神力に若者たちは「すげえじゃねえか爺さん」と一目置くようになり、マフィアのボスでさえ「アールはすごい。心のままに動いているから、誰も予想がつかない。すごい運び屋だ」と絶賛するのでした。
合間に麻薬捜査官のベイツの話も差し込まれていくのですが、アールのお楽しみを見ているもんだから、真面目にやってるベイツはなんか楽しくなさそうだな、、と思ってしまうのが正直なところでした。
|王道のストーリーの中に見える、イーストウッドの作家性
ストーリーとしては王道から逸れることはありませんが、そのありふれた道筋の中でイーストウッド節が炸裂しているのが今回の見どころで、長年のキャリアを積み上げてきた彼にしか作れない至極のエンターテイメントとなっています。運び屋の仕事、楽しそうだなあ。
▼こちらも老人(デニーロ)が若者に希望を与える話。
▼「運び屋」の一つ前のイーストウッド作品。この年齢でこの多作っぷりは、アール・ストーンもびっくりでしょう。